既に引っ越しは完了し、PCはネットに繋がっており、手続きは九割方終えているとアスペルガー症候群の私は考えている。
昔の引っ越しでは、ダンボール箱を見ただけで眩暈がして寝込んでいたり、親に荷造りを任せきりにしていたものだ。
それに比べたら今回は身体が動くし、精神的に安定しており、相当スムーズに引っ越しを済ませることができたように思うのだ。
実感としては、引っ越しから一週間経ち早々と生活環境が整い落ち着いたような気がするのだが、ダンボールの残骸が家に散らばっている現状からすると、定型発達者の夫の感想は異なるかもしれない。
引っ越しに当たって、段取りが悪かったり優先順位がおかしかったりする私のアスペルガー脳が夫を苛立たせていた。
特に、引っ越し直前になっても役所や金融機関などの手続きを自発的に思いつかず、当然実行もせず、アスペルガー症候群関係のサイトを読むのに熱中していたことが、アスペルガー症候群故の優先順位のおかしさの現れだったと思う。
御陰で私のアスペルガー症候群に関する理解は深まったが、夫の苛立ちは最高潮だった。
よくよく考えてみれば、引っ越しという一大イベントを前に、自分探しをしている場合ではなかった。
もし夫に怒られなかったら、優先順位がおかしいことに気付かなかったと思う。
前回引っ越しから間がないので前回の経験を生かせそうなものだったが、状況が少し異なるだけで応用が効かなくなった。
前回引っ越しでは、荷造りを夫に任せきりにして怒られていたのだが、今回は荷造りを業者に任せることになっていたので、文字通り何もしなくてよいと考えていたのだ。
そうではなかった。
業者に任せられない荷物の整理や、役所での転出届の手続き、ガス水道電気の利用停止と利用開始の届け出、金融機関などの住所変更など、やることは一杯あった。
夫に、
「やるべきことのリストアップくらいしろ!」
と引っ越し直前に怒られて、初めて思い至った。
どうして思いつかなかったのだろう。
目の前のPC以外、まるで頭になかった。
アスペルガー症候群の私の頭は、自発的にやるべきことを思いつかなかった。
優先順位がおかしかった。
アスペルガー症候群は、与えられた仕事を遂行する能力があっても、慣れないうえに乗り気でない仕事を率先して見つけるようにできていないように思う。
常に指示待ち状態なのだが、夫曰く、
「引っ越しでただでさえストレスがかかるときに、指示を出すのもストレスだ」
ということだった。
しかも私は、指示を与えられると、指示のなかから私が必要と判断したことしかやらないので、実際指示が通るのは五割くらいで、それがますます夫を苛立たせたようだった。
体調に応じて勝手にやるべきことを選別していたのだが、夫曰く、指示待ち状態の私にやるべきことを選ぶ権利はないらしい。
去年働いていたときに同様の台詞を上司に散々言われたので、性格は違っても定型発達者の感性は同じなのだと妙に得心がいった。
去年働いていたときには理不尽に怒られているように思えていたことの裏側にあった定型発達者の心理の片鱗が、見えたような気がしたのだ。
優先順位がおかしく、指示待ち状態の割に勝手に仕事を選別するアスペルガー症候群の姿勢は、定型発達者を苛立たせる。
もっとも、全てのアスペルガー症候群が私のようであるとは限らないが。
多くのアスペルガー症候群当事者は引っ越しのような環境の変化が苦手で、臨機応変に動けないことも多いと思うが、指示が十割通るアスペルガー症候群当事者はいるかもしれない。
今私が優先すべきことは、ネットをすることではなく居住環境を整えることだと考える。
その考えは、起きたら習慣的にPCに向かってしまう私の感覚に反するが、多分間違いなく私の感覚の方が狂っている。
やるべきこと、やっていいことは、状況に応じて変わるのだ。
夫の意見を窺いながら、生活のなかでの物事の優先順位を常に意識することを忘れないように、頑張りたい。
できるなら、率先して家の仕事をこなせるようになりたい。
三咲さん、引越しある程度は落ち着かれたんですね。
「引越し」・・・
私もやらかしましたよ。
自分では自分なりの理由があって、でもその中で最大限の努力と結果を残してたつもりなんですけど、主人に今でも言われます。
「明日引越し当日なのに何も片付けられていない・・・こんな事で明日引越しできるのか?!」って呆れていた。と
それ以来2回ほど引越しをしましたが、引越しの準備をするとなると必ずこの話をされ注意されます。なので引越しが完了するまで家事を放棄しています。
だって両方なんて私には無理。
体力の面、それに家事をして片付け、荷造りなんて頭が付いていかないし、家事をしていたらどれが不要なものなのかという判断も出来ません。
主人は荷造りをしない私にイラつくより、その間ぐらい食事がコンビニ弁当になった方がマシなようです。
ガス水道電気の利用停止と開始の手続きは昔不動産屋の事務をしていた経験から日常的に聞いていたことなのでそれは頭にしっかり入っているようで「引越し」=「ガス水道電気の手続き」と思います。
私は引越しをすると必ず1週間ほど熱を出し寝込んでしまいます。
三咲さんもお身体に気を付けてくださいね。
2008.11.23 08:32 URL | mian #n3C3tgxw [ 編集 ]
こんにちは(こんばんわ?)、お久しぶりです。ご無沙汰しております。三咲さんの記事、いつも拝見させていただいてます。(ごめんなさい、いつも読み逃げで。汗)
お引っ越し、お疲れさまです。
私も数年おきに転々としましたので、ご苦労がよく分かります。(ウチの主人は度重なる引っ越しが嫌になり、とうとう家を買う、と言って今の中古マンションを購入してしまいました。)
私の仕事の段取りの見積もりがいつも甘くて、優先順位も間違えることが多々あるので、引っ越しの前日は必ずと言っていいほど徹夜です。
(このコメントを何故こんな時間に書いているか、というと、仕事の時間見積もりが甘くて、明日閉め切りのものが間に合わないからです。恥。でもついつい記事を読んじゃうのです。もはや中毒です。)
私の場合、前回の引っ越しできれいさっぱり忘れていたのは「マンションの管理人に引っ越しの日を届ける」でした。賃貸だったから、不動産屋にはちゃんと言ったのに・・・。「マンションの管理人」という人からはいつも怪しまれてしまいます。あの人たちは、大勢の住人と接触があるからでしょうか、私はすぐ変わり者の範疇に入れられてしまうようです。「あなたみないな‥‥する人(しない人)、始めてですよ。」と、強い皮肉とともに言われること度々です。(でも、そういう管理人さんの方も負けず劣らず変わっていた、と思うんですけどね・・・私の個人の英会話の米国人も'He is curious'って言ってましたから。笑)
私も今、「優先順位のつけ方」悩み中です。良い情報が見つかると良いですよね。
2008.11.25 03:17 URL | アリエル #mrGGjAjQ [ 編集 ]
三咲さん、お返事ありがとうございました。
私は、アスペルガーの男性友人(アス君)がいる者です。
アス君にも「三咲さんのブログは分かりやすくて良いよ」とおすすめしてます。
気持ちより「真実」や「確実」にこだわってしまわれるのですね。
私がアス君に深く関わったきっかけは、まさしく「大掃除」でした。
アス君は年老いた父親と二人暮らし。
父親が「わしは、豆腐と豆だけありゃ良い」と言ったのを真に受けて、日替わりで豆腐か豆だけを与えていて、ある日、父親は栄養失調で倒れ入院(その時に助けを求められ、私がかけつけ病院に運んだ)
・・・そして退院間近に部屋を見ると「廃屋?」という悲惨な状況。
ゴミの中で読書にふけるアス君。
「と・・・とにかく片付けよう」
友人も加勢しての大騒ぎでした。
指示なくては、ウロウロするばかりのアス君。
父親の退院日を遅らせてもらって、大掃除したり、洗濯したり、新しい寝具を買ったり・・・やっと父親を迎え入れ、
私はアス君を病院に連れて行き「アスペルガー」と診断されたので、父親の世話を福祉関係者に一任しました。
でも、アスペルガーについて、福祉関係者の方も詳しくは知らないようです。
知識としては知っているけど、目の前に居る
「知的でソフトで紳士的な、この男性が?」
と、戸惑っていました。
このブログを通じて、たくさんの学びがあります。
医療や福祉関係者の方にこそ、当事者方のブログを見て欲しいです。
これからも、よろしくお願いします。
2008.11.25 20:47 URL | マルマル #- [ 編集 ]
>mianさん
段ボールが家からなくなり、大分落ち着いてきました。
通常の生活をいつも通りに送ろうとすると、引っ越し作業がおろそかになるのでしょうね。
引っ越し作業が難しかったのは、引っ越し直前まで注意が通常の生活に向いていたからだと思います。
同時に二つのことができないアスペルガー症候群の特性そのままですね。
もしまた引っ越すときには、冷蔵庫の中身を効率的に消費することに力を傾けるのではなく、事務手続きを優先するよう心がけようと思います。
次からは夫に指摘される前に気づけるとよいのですが。
2008.11.30 11:21 URL | 三咲 #mCvjHjNA [ 編集 ]
>アリエルさん
こんにちは。
時間の見積もりが甘いのは、アスペルガー症候群の共通の特性なのでしょうか。
私は結果の予測や時間の組み立てが非常に苦手で、知能テストでもその傾向が顕著に出ていました。
学生の頃は、よく徹夜でレポートを仕上げていたものです。
優先順位の管理は、作業を理解している定型発達者の方にしてもらうのが楽だと思います。
今回の転居の場合ですと、家庭内のことに精通している夫に任せました。
ただ人の手を借りる場合には、任せきりの姿勢だと相手を苛立たせてしまうので、役に立たないと自分で分かり切っているような事柄についても、最初から投げ出さないで手伝う姿勢を見せることが必要だと思いました。
引っ越し後の諸手続きを振り返ると、一応私がアスペルガーなりに自分で考えた行動予定を見せて、夫にアスペルガー故の段取りのおかしさを指摘してもらうのがいいようです。
2008.11.30 11:22 URL | 三咲 #mCvjHjNA [ 編集 ]
>マルマルさん
ご友人のアスペルガー症候群の方のお話、こうして読むと私ですらヘンな行動だと思うのですが、同じ特性故か、私自身似たような行動をとってしまうんですよね。
アスペルガー症候群ならば、日常生活で定型発達者の方には当たり前と思えるようなことをこそ、意識して学習していかなければなりません。
例えば掃除や洗濯が読書より優先順位が高いことに、アスペルガー症候群はなかなか気付かないと思います。
私自身、生活環境を整える大切さに、長いこと気付いていなかったのです。
今でもおろそかになりがちです。
ある程度知的水準が高いアスペルガー症候群当事者なら、いろいろ経験を積むことで、作業自体は大分できるようになっていくと思います。
出来る範囲でサポートしてあげるのがよいと思います。
ただしサポーターが本人のできないことを全部やってしまうと本人が手順を覚えないので、時にはおもちゃの片づけを学習中の子どもを見守る心境で待つことも必要だと思います。
まずは本人のできそうな小さな事について具体的な指示を出すことから始める必要があると思います。
スモールステップで始めて、行動の意味を把握させるのは後回しでもよいかもしれません。
本来なら、福祉関係者にはそのあたりのアスペルガー症候群の特性を分かっていて欲しいですよね。
2008.11.30 11:25 URL | 三咲 #mCvjHjNA [ 編集 ]
三咲さん、お返事ありがとうございました。
確かに、幼い子供に対応するときは、気長な気持ちで「やってごらんなさい」「考えてごらん」と、相手の行動や理解をを待つことが出来ますが、
大人の人には「出来て当然」という思い込みがあるので
「あ〜、もういい。私がやっとく」
と先回りしてしまいます。
友人アス君の、気づきや納得が待てなくて
「とにかく、そういうことなのよ。もうへ理屈言わないで」
と、話をうちきったことも多々ありました。
そんなとき「洗濯ものたたんで」を読んで、三咲さんのご主人のように、相手に合わして、こういう手間をかけなくては理解や行動に届かないのだと、反省しました。
最近、友人に
「アス君に過保護過ぎる。
アス君が聞いて来たときだけ応えてあげれば良い」
と注意されました。
アス君の理解とともに、私も心が成長しなければなと思います。
2008.12.02 11:01 URL | マルマル #- [ 編集 ]
>マルマルさん
アスペルガー症候群当事者の成長の手助けをするかどうかは、正直なところ当人との関係性によると思います。
夫が私に対して気長な心を持っているように見えるのは、そうしなければ夫の生活が純粋に脅かされるという面もあると思います。
友人という立場であるマルマルさんが、果たして当人の成長の手助けまでする必要があるかという点は、考える余地があるように思います。
場合によっては、周りだけでなく当人から過干渉と思われている可能性もあるかと。
当人とのデス・コミュニケーションを楽しむ心をお持ちなら、とことん付き合うのもいいかもしれません。
ただしあまり不可思議な生き物をとして見るのではなく、一人の対等な友達として接してあげて下さいね。
それができないなら、距離を取るのがお互いのためだと思います。
2008.12.04 00:11 URL | 三咲 #mCvjHjNA [ 編集 ]
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